この記事は「独学で何か(特に入試)のために勉強する」方々に向けて書いています。
入学試験でも資格試験でも、自分の目的を達成するためには何らかの勉強が必要です。そして勉強するためには教材が必要です。試験に向けて勉強するには、教材選びは欠かせないでしょう。勉強には他の要素も関わりますが、今回は「参考書選び」に焦点を当てたいと思います。
参考書選びをする前に考えるべきことは次の5点です。
- 最終目的は何か
- 目的を達成するために何が必要か
- 目的達成に必要なものの中で、自分に足りないものは何か
- 期限までに残っている時間はどれくらいか
- どのように勉強すれば目的達成が可能か
参考書を選ぶ前に、まずは目的と自分の立ち位置を明確化し、その差を埋めるにはどうすればよいかを分析しなければならないということです。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉の通りです。いかなる試験でも同じことです。
さてここからが本題です。参考書を選ぶのに必要な視点は次の3点です。
- 自分の現在のレベルに合っているか
- やる気が出そうなレイアウトか
- 目的達成のために必要なレベルを超えることができそうか
自分のレベルに合っているかを確認します。
あまり難しすぎても、途中で挫折します。一方、自分にとって簡単すぎても飽きてしまいます。
まずは目次を見ましょう。目次を見ることで、自分がほしい内容があるか判断することができます。自分が数学の三角関数について知りたいのに、「正の数・負の数」から多くのページを割いているならば、それはレベルに合っていないと言えます。
その後、著者による「前書き」を読みます。ここに、著者として読んでもらいたい読者像が書いてあることが多いです。自分はまだ基本単語もあやふやなのに、「本書は難関高校にトップで合格したい読者を想定している」と書かれていれば、それは自分に合っていないと言えます。
目次、前書きを見てから、本文に移ります。基本的に「例題」もしくは「基本」などと書かれている問題を見るといいでしょう。その問題が自分にとって難しく、全く解法などが思いつかない場合はレベルが合っていないと言えます。
過去問題を扱っている参考書であれば、出題校をみるのもいいですね。自分は公立高校を目標としているのに、全国最難関の私立高校の問題ばかりが載っていれば、それは目的に合っていません。
ここまで見れば、その参考書のレベル、内容がわかります。もし見てもわからない場合は、そもそも自分にマッチしていない可能性が高いです。
内容を見ていく中で、レイアウトも重要です。人それぞれ、やる気が出るレイアウトと出ないレイアウトがあります。「見やすい」、「読みやすい」、「使いやすい」が基準となるでしょう。文字のフォントから、問題と解答が別冊になっているかまでチェックしましょう。ここは人により評価が分かれるところです。
わかりやすい参考書がいいかどうかは、自分自身のレベルによります。個人的に、「わかりやすい」とタイトルにあるような参考書は、全受験生の最大公約数を狙うあまりに、わかりにくくなっているのではないかと思います。「わかりやすい」と銘打つ以上は、「誰にでもわかる」ことが重要です。そうすると、一つ一つの問題や学習事項に割くページ数が必然的に多くなります。言葉を尽くしてくれれば確かに「わかりやすい」ですよね。
ただ、それは「わかった気になっているだけ」のときもあります。試験で問われるのは、自分がわかっていることを自分の力でアウトプットすることです。したがって、わかりやすいだけの参考書ではアウトプットが不足します。「わかりやすい」参考書は、その科目をはじめて勉強する場合には有効かもしれませんが、それだけで実戦をくぐり抜けることはできないでしょう。これでは「わかっていない」のと同じことです。
アウトプットの練習という、実践的な訓練を繰り返さなければ、試験の場において学んだ知識を活用するに至らないのです。初学者のレベルを越えたなら、万人受けするような「わかりやすさ」を求めた参考書ではなく、自分の力で考えて答えを出す形式の参考書で勉強するべきです。むしろ、目の前の参考書に対して、まだるっこしいと感じたならば、それは次のレベルに進んでいいという合図になるでしょう。
ここまで吟味してはじめて、その参考書を自分が使っていいのかが明らかになります。長い道のりですね。しかし、このステップを踏まないと、自分に合わない参考書に手を出すことになり、結局勉強が続かず、貴重な時間を無駄にしてしまいます。参考書選びは慎重にした方が、結果的に時間の節約になりますね。
参考書選びについて書きましたが、「そもそも独学では無理ではないか」と感じることもあると思います。そのときは可能な限り、塾や予備校を利用しましょう。通わなくても受講可能な、ネットを介した低廉な価格のサービスもたくさんあります。後悔しない選択ができることを願っています。