記憶のメカニズムに基づいた社会科目の勉強方法

「社会は暗記科目だから…」中高生なら誰もが一度は耳にしたことがあるフレーズです。
でもこの「暗記」のやり方、実はまちがってる人がとても多いんです。

今回は「社会は暗記科目だから…」を地でめっちゃ頑張ってるけどなかなか成績が上がらない…。

そんな困った現象を解き明かし、「記憶のメカニズム」に基づいた勉強のやり方をお伝えします。

社会が伸び悩んでいる人はだいたいこんなやり方を今までに続けたことがあると思います。

  • ノートに用語を書きまくって覚える!
  • 一生懸命ノートまとめをする!
  • 学校のワークやプリントを解きまくる!

えっ?みんなこういう風に勉強してるんじゃないの?はい、実はその通りなんです。なんですが、
よく考えずにがむしゃらにやっている人が非常に多いです…。

では、なぜ上手くいかないのでしょうか?

これには人間の「記憶のメカニズム」と勉強のやり方の「工夫」に大きな関係があります。

人が何かものを覚えたり思い出したりする記憶にはいくつか種類があって、
その中でも「エピソード記憶」「意味記憶」というものがあります。

まず「エピソード記憶」とは何なのか?

簡単に言うと、いままでに自分が体験したできごとに関する記憶のことです。

たとえば、街中を歩いているときに空き店舗になっている建物を見かけて

あーそういえば前はここ靴屋さんだったなー…

みたいな記憶です。

学校のテストで言うと、テストで問題を見たときに

あっ、これ確か教科書のあのページの左下にあったやつだ!えーっと…

みたいな感じです。

次に「意味記憶」とは何なのか?

これは「赤信号は渡っちゃいけない」だとか「お年寄りには席を譲る」といったような
ものごとの意味や概念、一般的な事実に基づいた記憶です。つまり「知識」です。

これも学校のテストで言うと、

近畿地方では和歌山県がみかんで有名で…大阪府がいちばん人口多いから…。

みたいな感じです。


ここまで「エピソード記憶」「意味記憶」について言いましたが
実は、社会が伸び悩んでいる人の勉強のやり方の問題点はここにひそんでいます。

最初に書いた社会が伸び悩んでいる人の勉強のやり方の

  • ノートに言葉を書きまくって覚える!
  • 一生懸命ノートまとめをする!
  • 学校のワークやプリントを解きまくる!

これって実は、まったく工夫しないでこのやり方を続けているとエピソード記憶として記憶されてしまいます。

簡単に言うと、こういった勉強をしたあとに勉強を振り返ってみると「めっちゃ勉強した!」っていう“体験の記憶”は残るんですが
何を覚えられた?って聞くと答えられなかったり、
◇◇の問題は解けそう?って聞いても「えーっと…」ってなったりするんですね。

つまり、「社会は暗記科目だから…」のスタンスでただひたすら量をこなしただけでは
勉強した体験やそのやり方だけが記憶に残って勉強したことの理解につながりません。

これが「社会は暗記科目だから…」の落とし穴です。
つまり「意味記憶」として脳が処理をする勉強の仕方でないと身につかないのです。


ではここからは「意味記憶」につながる
身につけておきたい社会の勉強のやり方を3つ紹介します。

①頭の中に取り込むように繰り返し読む

教科書や参考書、問題集などを使って覚えるときは、頭の中に取り込むように繰り返し読んでください。

たとえば、教科書の「源頼朝は1185年に全国に守護と地頭を配置した」を覚えたい場合

「源頼朝 は 1185年に 全国に 守護と地頭 を配置した」

といったように文章を自分がつかみやすい形にくだいて頭の中で読んでください。
そして次は、

「源頼朝は鎌倉幕府の将軍で…1185年に鎌倉幕府ができて…日本の各地に守護と地頭をつかせて…そもそも守護は警察で地頭は役所の人みたいな役割で…」


といった内容やイメージを頭に思い浮かべながら繰り返し頭の中で声に出して読んでみます。
この時に、「守護と地頭」がわからなければ、守護と地頭について書かれた文章を同じやり方で頭に取り込んで、また戻ってきてくださいね。

「意味記憶」につなげるためには、まずはこのように頭の中に取り込むようにして書かれている文や言葉を読むことが大切なんです。

実はここでも「記憶」に関係する技術を使っています。
“処理水準効果”というものがあって、すごく簡単に言うと「記憶の深さは実は3種類あるよ」っていう認知心理学の研究です。

1.形で覚える 2.音で覚える 3.意味のつながりで覚える という3種類です。

そして実は、1よりも2、2よりも3、の方法で覚えた方が人は忘れにくくて思い出しやすいという特徴があるんです。
今回の例では、最初に2、次に3をやり方に取り入れています。

②マインドマップに描き起こす

このように繰り返し読んで頭に取り込んだものも、残念ながら人は数をこなしていくうちに古いものから忘れていってしまいます…。

そこで、繰り返し読んで頭に取りこんだものを「意味記憶」にするために、マインドマップに描き起こしましょう。

マインドマップとは、めっちゃ簡単に言うと「学んだことを描いていった地図」です。
といってもピンと来にくいので、下の写真を見てください。


こんな感じで学んだことを描き起こしていきます。

マインドマップを描き起こすことで
学んだ内容が整理・体系化されることでさらに記憶を強めることができるんです。

③次の問題に行く前に頭の中で繰り返して確かめるクセをつける

ここからは実際に問題を解いていく場面です。ここでやってほしいことがあります。
それは「次の問題に行く前に必ず頭の中でさっきの問題を繰り返し確かめる」です。

これも実は“リハーサル”という記憶を強めるテクニックを使っています。
簡単に言うと「本番を意識した繰り返し」です。

よく

「学校のワークや問題集では解けたのに、テストになると分からなかった」

と言う人はこの“リハーサル”をやっていないんです…。

これが本番(=テスト)で出されたら、いま解けたみたいに自分はテストで解けるかな?

ってことを考えるクセが練習の時に大切です。

なので、次の問題に行く前に、かならず“リハーサル”しておくことが重要です!


以上、記憶のメカニズムに基づいた社会科目の勉強方法の紹介でした!

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この勉強法を紹介した人

塾講師と家庭教師/学習の様子を観察し「合理的で正しい学習方法」を研究/メタ認知/学習方略/自己調整学習/コーチング型指導/認知心理学・発達心理学・学習理論・応用行動分析学/学習障碍・発達障碍の方の学習指導